新・オーディオ入門 7
『オーディオはよくわからないけど良い音で音楽を聴きたい』、『オーディオ歴は長いけどこれは知らなかった!』というお話を聴くことがあります。 新オーディオ入門はオーディオの基礎についてエンジニアの視点から初心者の方にも判りやすく解説していくものです。 タイトルは私が10代の時に愛読した『オーディオ入門』から拝借しました。 私がオーディオに携わることになったきっかけの本です。 とても判りやすく説明されていて、手元に置いて辞書のように使っていました。 『新・オーディオ入門』はその現代版となれるよう書き進めたいと思います。
● 4K Video Downloader
YouTube等の動画サイトから動画ファイルをパソコンにダウンロード・保存する事ができる無料のツールです。
こういったダウンロードツールはフリーソフトやWEB上でのサイトとして多く存在しますが、最も安定しているツールです。
長尺の動画や4K等の大容量の動画ファイルも安定してダウンロードすることができます。
さらに、音楽部分を分離させMP3ファイルとして保存することも可能です。
無料版では1日30ファイルしかダウンロードできません。
また、4K Video Downloaderは音声(mp3)のみを抜き出して保存することが可能です。
4K Video Downloaderはこちらからダウンロードすることができます。
● mp4形式
MPEG-4 Part 14を意味し、国際標準化機構(ISO)によって策定された動画・音声・字幕・静止画等のデータを圧縮してファイル化するための形式のひとつです。
Mac、Windows、スマホ、メディアプレーヤー等幅広いデバイスで再生できます。
現在の動画ファイルでは最も標準的な形式で、YouTubeではほぼすべての動画をmp4形式でダウンロードすることができます。
● mkv形式
Matroska Video Fileの略で、2002 年にロシアで開発された動画・音声・字幕・静止画等のデータを圧縮してファイル化するための形式のひとつです。
オープンソースで開発されたもので、現在も進化しています。
現在のところ汎用性ではmp4形式に劣りますが非常に先進的なファイル形式です。
また、1つのファイルの中に各国の言語の字幕をすべて格納することができます。
mkv形式は4Kの解像度と2160pのフレームレートをサポートしていますので
YouTubeでは一部の2Kや4Kの動画はmp4形式ではダウンロードすることができませんが、mkv形式であればダウンロードできる場合があります。
● スクラッチノイズ
アナログレコードの再生時に『プチプチ』と聞こえるノイズで主にレコード盤がわずかにへこんでいる部分を
ピックアップアップが通過する際に発生します。
これはステレオ盤特有の現象でモノラル盤では縦振動はピックアップせず、横振動のみをピックアップするため気になりません。
● 小出力のパワーアンプで無理に大音量を再生すると音が歪む
パワーアンプの出力の大きさは増幅素子の仕様と電源回路の容量で決定されます。
素子の仕様以上にパワーを取り出すことはできません。
電源回路はごく短時間に多少オーバーする程度であれば使用することが可能です。
たとえば、オーケストラでティンパニーの大きな音が一瞬入るだけであれば多少オーバーしても歪むことはありません。
このようなパワーを定格出力と分けてミュージックパワーという表記をするメーカーもあります。
● ディストーションやオーバーロードといったエフェクター
エレキギターはエフェクターと呼ばれる音楽信号の波形を変化させる機器を使用する事でミュージシャンの意図する音色に変化させる事が可能です。
デイストーションは歪を意味し、あえて歪を多く含んだ信号に変化させるものです。
オーバーロードは過負荷を意味し、小出力の真空管のパワーアンプで無理に大出力で使用した時のような信号に変化させるものです。
● 20KHz以上の周波数帯域のノイズが・・・
20KHz以上の周波数帯域のノイズによって最も大きな影響を受けるのはパワーアンプです。
20KHz以上の周波数帯域の信号もスピーカー(負荷)に供給されています。
耳で聴くことはできませんがスピーカーでエネルギーは消費されています。
このエネルギーは電源から供給されているものですので、可聴帯域で使用するエネルギーが目減りしてしまいます。
さらに具合の悪い事にはパワーアンプに使用されている半導体は周波数が高くなると効率が低下します。
つまり、高い周波数では発熱が多くなりパーツの劣化や半導体の破壊をもたらすことがあります。
● 交流
商用電源(壁のコンセント)から供給される電気です。
交流にもプラスとマイナスがありますが、50Hzの東日本では1秒間に50回、60Hzの西日本では1秒間に60回変化しています。
2つある壁のコンセントの端子が、あるタイミングでは右がプラス、左がマイナスですが、1/50(1/60)秒後には右がマイナス、左がプラスとなります。
極性が常に入れ替わっていますので極性を気にする必要がありません。
そのため、コンセントを逆向きに差し込んでも時計が逆回転したり、掃除機からゴミが噴き出すというようなことがないのです。
交流にはプラスマイナスの極性のい他にラインとアースという極性があります。これはプラスマイナスの極性とは全く関係のないものです。
2つある壁のコンセントの端子の左側は電柱でアース(大地)に接続されています。
アース(大地)とコンセントの2つの端子の電圧を測ると、左側は0v、右側は100vになります。
左側の0vの方を『アース側』、右側の100vの方を『ライン側』と呼びます。
● 直流
電池や車のバッテリー、モバイルバッテリーから供給される電気です。直流にはプラスとマイナスがあり、これが変化することはありません。
プラスマイナスを逆に接続すると機器が故障する可能性がありますので注意が必要です。
単3電池の場合2つの端子の片方が数ミリ飛び出していますが、こちら側がプラスになります。
● 3Pのアース付プラグ
商用電源(壁のコンセント)には一般的な2つの電極を持つタイプと3つの電極を持つタイプがあります。
この第3の端子はアース(大地)に接続されています。このアース端子はノイズ対策用ではありません。
ノイズ対策には全く効果がありません。
このアース端子は機器のボディに漏電した場合に感電しないように漏れた電気を大地に逃がすためのものです。
濡れた手で使用するため感電しやすい洗濯機等に使用されます。
● f0(最低共振周波数)
スピーカーユニットには必ずf0(最低共振周波数)が存在します。f0より低い周波数を再生することは困難です。
f0が低いユニットは口径が大きくするか、コーン紙(振動板)の質量が大きくする必要があります。
嘗て真空管アンプが全盛の時代は大出力のパワーアンプを生産するのが困難でしたので、
能率の高い大口径ユニットが多く使用されましたが、近年50w以上の大出力アンプを生産するのも容易になり、
音場感を再現するために有利な小口径ユニットが使用されるようになってきました。
さらに、現在では新素材の開発により口径20cm満たないようなユニットであっても30Hz以下まで再生することが可能になりました。
● 超低域の音は、人の耳の感度が下がる
ヒトの耳の感度は周波数によって差があります。中域が聴こえやすく低域や高域は聴こえにくくなります。
音量が小さい状態では、この傾向はさらに助長されます。
例えば、普段80デシベルの音量(電車の車内くらいの音量)で音楽をお聴きの方が、
60デシベルの音量(走行中の自動車の車内くらいの音量)に落とすと、20Hzの超低域の音は中域に比べて1/3くらいの音量になってしまいます。
● エンクロージャー
スピーカーユニットをマウントしてある箱の部分の名称です。
スピーカーの形式によっては箱状ではなくフラットな板であったり、ホーン形状の場合もあります。
● 共振
箱状のものは叩くと特定の周波数の音がします。この音は叩き方を変えてみてもほぼ一定の音程になります。
スピーカーからの再生音がこの音程と一致するとその再生音の音量が上がって聴こえたり、歪んで聴こえたりします。
これを共振といい、共振が大きくなると本来の再生音が損なわれ音質が劣化します。
● ノイズの伝送経路
ノイズがオーディオコンポーネントに混入する線路は電源ケーブルだけではありません。
ピンケーブルやスピーカーケーブル等の信号ケーブルや、PCオーディオのためのUSBケーブルから混入することもあります。
また、電波としてオーディオコンポーネントに直接混入することもあります。
● デジタルノイズは一定の周波数・波形ではなく・・・
アナログノイズは、例えば「ブーン」というハムノイズのように周波数や波形が一定である事が多いのですが、
デジタルノイズはランダムです。そのため対策も一般的なノイズ対策とは異なる対策が必要です。
● 電磁波
いわゆる電波です。電波は何十キロも離れた放送局から伝送されます。
パソコンやCDは発生源としては微弱ですが、それでも数メートル程度は十分に伝送する可能性があります。
数メートル離れた場所に設置してあるパソコンは十分ノイズ源になり得るのです。
● 電灯線
商用電源です。日本では交流の100ボルトです。
電圧が高いため、わずか1%のノイズが混入していても1ボルトのノイズということになります。
ピンケーブルで伝送される音楽信号が1ボルト程度であることを考えるとかなりレベルの高いノイズです。
● ノイズフィルター
50Hzまたは60Hzの電源に対してノイズは数キロヘルツ以上の周波数です。
そこで数百ヘルツのフィルターを線路に挿入し、50Hz、60Hzは通過しますが、
数キロヘルツの電源ノイズは通過しない仕組みになっています。
● アイソレーショントランス
トランスは電気を磁気に変換し更に電気に戻すことで伝送線路の絶縁を可能にするパーツです。
また、同時に電気を磁気に変換する帯域を制限することでノイズフィルターのような効果をもたらすことができます。
● 正弦波
サインウェーブともいわれ、オーディオコンポーネントの測定において基準となる信号の波形です。
オーディオコンポーネントの測定では1KHzの正弦波が使用されます。
1KHzは可聴周波数である20Hz~20KHzの中心周波数であり、ヒトの耳の感度が最も高い帯域と言われています。
● デシベル
デシベルは音量や倍率を表す単位です。
音の大小はその幅が大きいため一般的な単位では扱いにくいため、デシベルが使用されるようになりました。
例えば、静かな住宅地での音の大きさは40デシベル程度と言われています。自動車のクラクションは110デシベル程度です。
両者には70デシベルの差がありますが、これを電圧で表示すると3000倍もの差があります。
これだけ差があると様々な支障が発生します。
一例をあげると業務用の録音機にはVUメーターという録音時の音量を示すメーターがついており、適切な音量で録音することができるのですが、
もし、電圧で表示されていたのであれば、静かな住宅地であればVUメーターはまったく振れず、
自動車のクラクションが鳴ると振り切ってしまう・・・ということになってしまいます。
デシベル表示によって小さな音は大きく誇張さてれ表示され、大きな音はそれほど大きな数字になりません。
これは対数を使用しているからなのですが、その正確なデシベルの値は関数電卓がないと導き出せません。
しかし、簡易的に計算する方法があるのでご紹介したいと思います。
6デシベルが2倍、10デシベルが3倍、20デシベルが10倍の3つを覚えて下さい。
他の数値はある程度は計算で出すことができます。6倍は2×3ですので6デシベル+10デシベル=16デシベルです。
5倍は10÷2ですので20デシベル-6デシベル=14デシベルです。
100倍は10×10ですので20デシベル+20デシベル=40デシベルとなります。
0.001倍の算出は0.1倍は1/10倍ですので-20デシベルです。0.001=0.1×0.1×0.1ですので、-20-20-20=-60デシベルとなります。
● 密閉型ヘッドホン
1960~70年代ヘッドホンは業務用や当時流行った『ナマ録』に使用するためのものでした。
そのため外部に音が漏れないこと、外部の音が混入しないことが重要でした。
しかし不自然な聴こえ方であったためホームオーディオには普及しませんでした。
近年、スマホでヘッドホンが多用されるようになると、音漏れが問題になり多くの密閉型ヘッドホンが登場しました。
最新の密閉型ヘッドホンはナチュラルな聴こえ方で、嘗ての密閉型とは全く異なる音です。
私もラジオ出演時はマーシャル社の密閉型ヘッドホンを愛用しています。
● オープンエアー型ヘッドホン
1968年に不自然な音の密閉型ヘッドホンが改良され、オープンエアー型ヘッドホンが生まれました。
最初のオープンエアー型ヘッドホンはドイツ・ゼンハイザー社のHD 414です。
自然な音質とかけ心地の良さでホームオーディオにおけるヘッドホンの地位を向上させました。
このヘッドホンはYMOのメンバーにも使用され、ライブ映像にヘッドホンが映り込み話題となりました。
また、1979年にソニーがウォークマンを発売するとオープンエアー型ヘッドホンが付属されていたためさらに人気に拍車がかかりました。
現在でも音漏れが問題にならないような環境で使用する場合にはオープンエアー型ヘッドホンをおすすめします。
● 3.5mmステレオミニプラグ
3.5mmミニプラグは本来モノラル用で2つの接点でしたが、
ヘッドホンがホームオーディオで使用されるようになると3つの接点を持つ3.5mmステレオミニプラグが登場しました。
そのため『ステレオヘッドホンプラグ』と呼ばれることもあります。
現在はスマホでマイクを使用するために4つや5つの接点をもったプラグも登場しています。
一時期、ヘッドホン端子を小型化するためにプラグの径が2.5mmのものも開発されましたが、最近ではあまり使用されていません。
回路図とは抵抗、コンデンサーやトランジスター、IC等の電子パーツの接続を示した図面です。
回路図には電子パーツと結線するための電線のみが記載され、ケース等の板金やレコードプレーヤーのターンテーブルをいった機構は記載されません。
回路図のルールはとても簡単で、交差する電線が接続されている場合は交差する点を黒丸で表し、
交差する電線が接続されていない場合は黒丸をつけません。
あとは電子パーツの記号を理解すればパワーアンプやプリアンプといった
電子パーツのみで構成されているオーディオコンポーネントを製作することも可能です。
とはいうものの、回路図には記載されないノウハウもありますので回路図からオーディオコンポーネントを製作するには多くの経験が必要です。
ここでは主要な電子パーツの記号を解説し、初歩的な回路図の読み取り方について書いていきたいと思います。
● 固定抵抗
抵抗には、一般に『抵抗』と呼ばれている固定抵抗の他、
ボリュームに使用されている可変抵抗や、回路上の調整ポイントに使用される半固定抵抗があります。
固定抵抗にはカーボン抵抗や金属皮膜抵抗、セメント抵抗等多くの種類や大きさがありますが回路図の記号は全て同じですので、
記号の横に抵抗値の他熱容量や種類等を書き足すこともあります。
電線を接続するための電極は2ケ所あります。
● 可変抵抗
可変抵抗の記号には表記の方法が2つあります。
上図の可変抵抗1は最近はあまり使用されません。最近では可変抵抗2を使用するのが一般的です。
調整ポイントに使用する半固定抵抗は簡易的なものからポテンショメータと呼ばれる精密な調整が可能なものまで多くの種類があります。
半固定抵抗は独自の記号が使われていた時代もありましたが、最近では可変抵抗と同じ記号が使用されることが多いようです。
可変抵抗や半固定抵抗には3ケ所の電極があります。
● コンデンサー
コンデンサーには固定コンデンサーと可変コンデンサーがあります。
電解コンデンサー以外の固定コンデンサーはすべて同じ記号で表示されます。
2枚の金属板を平行に配したコンデンサーの構造がモチーフになっています。
電極は2つあります。コンデンサーの記号には以下の内容が併記されることがあります。
①コンデンサーの種類(セラミックコンデンサー、フイルムコンデンサー、スチロールコンデンサー等)
②容量(単位はμFマイクロファラッドまたはpFピコファラッド)③耐圧(単位はVボルト)
● 電解コンデンサー
ケミカルコンデンサー、またはケミコンとも呼ばれます。
嘗て電解コンデンサーは電解液が封入された湿式のものであったため、一般的なコンデンサーとは異なる記号で表示されます。
現代の電解コンデンサーは乾式のため他のコンデンサーと同じように使用しても問題ありませんが、記号のみが当時の名残で異なるものになっています。
また、電解コンデンサーには極性があります。必ずプラス極に『+』と書きます。
電解コンデンサーの記号には以下の内容が併記されることがあります。①容量(単位はμFマイクロファラッド)②耐圧(単位はVボルト)
● 無極性電解コンデンサー
電解コンデンサーの中には極性を持たない電解コンデンサーもあります。
これを無極性電解コンデンサーといいBP(bi-polar両極性)、NP(non-polar無極性)と表示され、プラス極を表す『+』は表示されません。
無極性電解コンデンサーの記号には以下の内容が併記されることがあります。①容量(単位はμFマイクロファラッド)②耐圧(単位はVボルト)
● バリコン
特殊なコンデンサーとして可変容量コンデンサー(バリアブルコンデンサー、バリコン)があります。
オーディオコンポーネントではFMチューナーの選曲に使用されることがあります。
● 空芯コイル
空芯コイルと鉄芯入りコイルがあります。
空芯コイルの電極は2つですが、複数のタップがあるものも。
コイルの記号にはインダクタンス(単位はμHマイクロヘンリー、mHミリヘンリー)が併記されることがあります。
● 鉄芯入りコイル
鉄芯入りコイルの記号は、一般的なコイルの他、バーアンテナ等にも使用されます。
無タップがない鉄芯入りコイルの電極は2つですが、複数のタップがあるものも。
コイルの記号にはインダクタンス(単位はμHマイクロヘンリー、mHミリヘンリー)が併記されることがあります。
● 単巻トランス
コイルの一種ですが、全く別の電子パーツとして扱われます。単巻き、複巻きがあります。
単巻トランスの記号には以下の内容が併記されることがあります。
①電圧(単位はvボルト)、②定格電流(単位はmAミリアンペア、Aアンペア)③容量(単位はVAブイ・エイ)
● 複巻トランス
複巻トランスの記号には以下の内容が併記されることがあります。
①電圧(単位はvボルト)、②定格電流(単位はmAミリアンペア、Aアンペア)③容量(単位はVAブイ・エイ)
● GND
グランドと読みます。単にGと表記される場合も。地面に接地するという意味ですが現在は電源電圧0vの基準電圧を表します。
デジタル回路とアナログ回路が混在するばあいはAG(アナログ・グランド)DG(デジタル・グランド)のようにそれぞれにグランドを設ける場合もあります。
● VCC、VEE
VCCはプラス電源を、VEEはマイナス電源を意味します。
嘗てNPNトランジスタのC(コレクター)をプラスに接続し、E(エミッター)をマイナスに接続したことからこう呼ばれるようになったと言われています。
● ダイオード
ダイオードは信号用に使用されるものと、電源回路で整流用に使用されるものがありまが、整流用ダイオードは整流器と呼ぶこともあります。
ダイオードには極性があります。図の上側の電極がアノード、下側の電極をカソードです。
ダイオードの記号には型名が併記されることがあります。
● ブリッジダイオード
整流器の中で全波整流に使用するダイオードを特にブリッジダイオードと呼びます。
電極は4ケあり、左側の2つの電極が交流入力です。右側の上がプラス出力、右側の下がマイナス出力です。
交流入力の2つの電極には極性はありませんが、出力側の電極には極性があります。
ブリッジダイオードの記号には型名が併記されることがあります。
● 定電流ダイオード
定電流ダイオードはCRD(Current Regulative Diode)とも呼ばれ、流れる電流が一定になる特殊なダイオードです。
定電流ダイオードには極性があります。
図の上側の電極がアノード、下側の電極をカソードです。ダイオードの記号には型名または、電流値が併記されることがあります。
● 定電圧ダイオード
定電圧ダイオードはツェナーダイオードとも呼ばれ、両端の電圧が一定になる特殊なダイオードです。
電源回路や増幅回路等に使用されます。
定電圧ダイオードには極性があります。図の上側の電極がアノード、下側の電極をカソードです。
ダイオードの記号には型名または、電圧が併記されることがあります。
● LED
LEDは発光ダイオードとも呼ばれ、Light Emitting Diodeの略です。赤、青、白、緑等に発光し、中には2色や3色に発光するものもあります。
LEDには極性があります。図の上側の電極がアノード、下側の電極をカソードです。
LEDの記号には型名または、発光色が併記されることがあります。
● トランジスター
トランジスターにはNPN型とPNP型があり、記号が異なります。電流の流れ方が逆になるだけで動作そのものは同じです。
電極は3つあり、B(ベース)、C(コレクター)、E(エミッター)と呼びます。
小型のものから大型で大容量のものまであり、ローノイズタイプやhfeの高いもの、
耐圧が高いもの等、あらゆるトランジスターがラインナップされています。
NPN型とPNP型を組み合わせることでプッシュプル回路と呼ばれる高効率で低歪の増幅回路を形成することが可能です。
● JFET
FETはField effect transistorの略で電界効果トランジスタを意味します。
FETにはNch型とPch型があり、記号が異なります。電流の流れ方が逆になるだけで動作そのものは同じです。
電極は3つあり、G(ゲート)、D(ドレイン)、S(ソース)と呼びます。
現在は小型のものが多くラインナップされています。
Nch型とPch型を組み合わせることでプッシュプル回路と呼ばれる高効率で低歪の増幅回路を形成することが可能です。
● MOSFET
MOSFETはmetal-oxide-semiconductor FETの略で金属酸化膜半導体電界効果トランジスタを意味します。
FETの一種です。MOSFETにはNch型とPch型があり、記号が異なります。電流の流れ方が逆になるだけで動作そのものは同じです。
電極は3つあり、G(ゲート)、D(ドレイン)、S(ソース)と呼びます。MOSFETは大電力用のものが多くラインナップされています。
Nch型とPch型を組み合わせることでプッシュプル回路と呼ばれる高効率で低歪の増幅回路を形成することが可能です。
● SCR
SCRはサイリスタとも呼ばれ、NPN型とPNP型トランジスターを組み合わせたものです。
電極は3つあり、G(ゲート)、A(アノード)、K(カソード)と呼びます。電源回路等の大電力のスイッチングに用いられています。
● 3端子レギュレータ
3端子レギュレーターは電源回路に使用し、電源電圧を一定するためのICです。
IN(入力)、OUT(出力)GND(グランド)の3つの電極を持つことから3端子レギュレーターと呼ばれています。
3端子レギュレーターに決められた回路図での記号はなく、
使用されている場所や型名(78XXまたは79XXが多い)によって3端子レギュレーターと認識しています。
3端子レギュレーターの記号には型名または出力電圧が併記されることがあります。
● 抵抗アレー
複数の固定抵抗が1つのパッケージの中に封入されたものです。
内部の接続は色々なパターンがあり、完全に独立したものもあれば、ラダー状や、図のように片方の電極だけが共通になっているもの等があります。
内部の抵抗の数は8ケ前後のものが多いです。抵抗アレーの記号には型名または抵抗値が併記されることがあります。
● 7seg
7segは7 Segment LDEの略で、数字を表現するためにLEDが7つのセグメントにわかれていることから7segと表記し、ナナセグと呼ばれます。
10mm程度のものから数十センチの大型のものまであります。色は赤や緑、白が一般的です。
最近では液晶ディスプレーで数字を表示することが多く、7segの使用頻度は減っていますが、
いまだ見やすさでは7segに軍配があがるため業務用では現在でも多用されます。
7segの記号には型名や発光色が併記されることがあります。
● OP-AMP
OP-AMPはOperational Amplifierの略で演算増幅器の意です。一般にはオペアンプと呼ばれています。
嘗てはアナログ計算機用のICとして使用されていましたが現在ではアナログ増幅回路用のICとして使用されています。
OP-AMPはプラス入力、マイナス入力、出力、電源の電極があります。
OP-AMPの記号には型名が併記されることがあります。
● RCAジャック
ピンジャックとも呼ばれています。音声信号の他ビデオ信号の接続にも使用されます。
ステレオで使用する場合は右チャンネル用と左チャンネル用の2ケ必要ですが、回路図では片方だけ描きもう片方は省略されることが多くなっています。
電極は2ケあり、内側の丸に接続されているのがホット側、外側の丸に接続されているのがグランド側です。
● ヘッドホンジャック
ヘッドホンジャックには6.5mm、3.5mm、2.5mmの3種があります。現在最も多く使われているのは3.5mmで、業務用には6.5mmが使用されています。
標準的なヘッドホンジャックは3つの電極があり、上図の上側が左チャンネル、真ん中が右チャンネル、下が共通のグランドです。
最近ではマイク用の端子があるものもやプラグを刺したときにオープンになる電極がついたもの等、複雑な端子をヘッドホンジャックもあります。
● スピーカー
スピーカーはウーハーもツィーターも記号は同じです。電極は2ケあり、プラス極とマイナス極があります。
● 押しボタンスイッチ
プッシュスイッチとも呼ばれます。押している間接点が導通します。
特殊な押しボタンスイッチでは離している間接点が導通するタイプもありますが、このタイプは記号が異なります。
● 1接点スイッチ
トグルスイッチやスライドスイッチ等あらゆるスイッチの記号として用いられます。
スイッチが動作しているときは導通するタイプのスイッチです。
● 2接点スイッチ
接点はコモン(共通)とA接点、B接点があり、スイッチを切り替えることでどちらかの接点とコモンが導通します。
上図は2接点ですが、接点が3つ以上あるスイッチもあります。
● リレー
リレーは電磁石とスイッチによって構成されており、電磁石とスイッチが完全に絶縁された状態であるため、
機機器に内蔵されたデジタル回路によって電源をコントロールしたり、スピーカー回路をコントロールするために使用されます。
電極は4つまたは5つで電磁石に2つ、スイッチ部に2つまたは3つです。スイッチ部が2回路や3回路になったものもあります。
リレーには以下の内容が併記されることがあります。①コイルが交流なのか直流かの区別と電圧(例:DC12v、AC100v)②リレーの型名
● フォトカプラー
フォトカプラーは、機械的に動作するリレーに対して、電子的に動作するリレーとして開発されたものです。
リレーが電気を磁気に変換し再び電気に変換しているのに対して、フォトカプラーは電気を光に変換して再び電気に変換しています。
フォトカプラーは機械的な要素がないため寿命が長く、スピードは速く、省電力で動作します。
しかし、音楽信号をそのまま使用すると歪が増えたり、大電力の回路ではロスが発生する等のデメリットもあります。
電極は4つで1:アノード、2:カソード、3:エミッター、4:コレクターです。フォトカプラーには型名が併記されることがあります。
● ヒューズ
一定の電流が流れると回路を遮断するパーツです。最近では電子的な保護回路が使われることが多くなりました。
ヒューズには使用可能な電流値の上限が併記されることがあります。
● 電池
乾電池もボタン電池も自動車のバッテリーも皆同じ記号です。細くて長い方がプラス、太くて短い方がマイナスです。
● 水晶振動子
クリスタルと呼ばれることもあります。特定の周波数を高精度で発振させるときに使用します。水晶振動子には周波数が併記されることがあります。
回路図1~8では回路図に使用する記号について書いてきました。次に実際の回路図を読み取ってみたいと思います。
上図はムジカで販売している低域増強アダプターです。
このアクセサリーは中高域だけを減衰させることで、相対的に低域を上昇させるアクセサリーです。
電源が必要なく、低域の増強量も3段階切り替えることができます。
小型ブックシェルフ等に使用し低域を1.5倍~2.5倍程増強させることが可能です。
ムジカ公式サイトで使用したときと使用していないときの音をmp3ファイルによって聴き比べることができます。
この図は片方のチャンネルのみが書かれていますので、ステレオの場合は同じものがもう一組あると考えて下さい。
inputとあるのは入力のRCAジャックです。抵抗が接続されています。
抵抗値のみが表記されていますが、こういった信号回路には金属皮膜抵抗が向いています。
容量は書かれていませんので1/4wでOKです。
次にコンデンサーがあります。
コンデンサーは100pまではセラミック、1μF~10μFはフイルムコンデンサーまたは積層コンデンサー、10μF以上は電解コンデンサー、
その他はフイルムコンデンサーをお勧めします。耐圧が書かれていませんが信号回路に使用するだけですので16v以上あればOKです。
スイッチは特性を切り替えています。
1回路2接点(センターOFF)のスイッチを使用しています。真ん中の接点はスイッチに電極はなく、どこにも接続されない状態になります。
スイッチは電力用のものと信号用のものがあります。信号用のスイッチに大電流を流すと接点が劣化するので使用できません。
電力用のスイッチは微小信号の切り替えができないものもありますので適切なスイッチを選択する必要があります。
回路図は描かれている機器によっては省略されてしまう部分があります。
しかし、すべての情報を回路図に併記すると見にくい回路図になってしまいます。
そこである程度は省略し、省略された部分は経験によって読み解くしかありません。
マッキンやマランツ、ウエスタン等の往年のアンプの回路図が出回っていますが
これらのアンプの設計者と同等の技術がなければ音質を再現することはできないのです。
オーディオメーカーのカタログや取扱説明書には周波数特性図が登場することがあります。
周波数特性はオーディオコンポーネントにおいて特別重要な特性のひとつです。
例えば『100w』のパワーアンプでは、すべての周波数で100w出力できるわけではありません。
1KHzを中心とした中域では100w出力することは可能ですが、高域でも低域でもパワーは落ちてきます。
同様にスピーカーも、低域から高域までどの帯域でも同じ音圧レベルで再生できるわけではありません。
どの周波数でどの程度落ちるのかをグラフ化したものが周波数特性図です。
縦軸は出力をあらわしており、プリアンプの周波数特性図であれば出力電圧(単位:V・ボルト)、パワーアンプであれば出力電力(単位:W・ワット)、
スピーカーであれば出力音圧レベル(単位:dB・デシベル)です。
プリアンプやパワーアンプの周波数特性図の中にはdBで表示されているものもあります。
基準となる出力の値を設定し、その出力に対して上がっているか、下がっているかが表示されています。
基準点は1KHzにおかれることが多く、0dBとされます。
横軸は周波数をあらわしています。単位はHz(ヘルツ)またはKHz(キロヘルツ)です。1KHz=1000Hzです。
横軸は一般的なグラフではあまり使用しない対数方眼になっています。横軸だけが対数方眼で縦軸は通常の方眼なので、これを片対数方眼といいます。
ヒトの可聴周波数は20Hz~20KHz。ハイレゾ対応のアンプともなれば10Hz~80KHzにもなります。
これほど広い範囲を通常のグラフで表示することは困難です。
そこで周波数の低い方を対数を使用して細かく表示することで見やすいグラフとすることができます。
グリーンの囲い部分を拡大したものを下側に掲載しました。対数軸の読み取り方は特殊です。
囲いの部分のように数字が大きく成るほど詰まっていき、一桁上がると元の幅に戻ります。参考にして下さい。
片対数方眼は紙の方眼紙としても文房具店で販売されています。
また、PDF化したものを方眼紙ネットさんのページからダウンロードすることもできます。
このページでは両対数方眼もダウンロードすることができます。
2つの周波数特性図を例に周波数特性を読み解いてみましょう。
● 図1・アンプの周波数特性図
プリアンプやパワーアンプはどのようなモデルの特性をとっても図1のようなグラフになります。
プリアンプやパワーアンプは基準点に対して3dB下がったのポイントをもって周波数特性と呼ばれます。
丁寧に書かれた仕様書では(±3dB)のような但書がついていることもあります。
プリアンプやパワーアンプでは1KHzを基準点としますので、1KHzのポイントが0dBになるようにグラフが書かれています。
そこから3dB下がったポイント(71%に低下したポイント)の範囲が周波数特性ですので
図1では『5Hz~22KHz(±3dB)』という表示になります。
● 図2・スピーカーシステムの周波数特性図
プリアンプやパワーアンプは-3dBのポイントの範囲をもって周波数特性と呼びましたが、
ホームオーディオ用のスピーカーシステムでは-10dBが一般的です。
一部の業務用スピーカーの規格や未だ規格が固まっていないハイレゾ対応と呼ばれるツィーターがプラスされたスピーカーシステムでは-20dBであることも。
スピーカーシステムはアンプに比べると周波数特性はデコボコが多く、ピークとディップの差が3dBを超えることも珍しくありません。
図2のスピーカーシステムを業務用の規格(-20dBのポイント)で読み取ると周波数特性は20Hz~60KHz、
一般的なホームオーディオの規格(-10dBのポイント)で読み取ると60Hz~35KHz、
オーディオアンプと同じ規格(-3dBのポイント)で読み取ると120Hz~4.8KHzとなります。
同じスピーカーシステムであるにもかかわらず、規格によってこれだけの差が生じます。
周波数特性を正確に読み取るには周波数特性図が必須なのです。
また、0dB基準点はオーディオアンプでは1KHzでしたが、スピーカーは400Hzと1KHzの2通りあります。
嘗ては400Hzが多かったのですが、最近ではオーディオアンプと同じ1KHzを基準点としているスピーカーシステムが増えてきました。
スピーカーシステムのカタログには指向特性図が書かれていることがあります。
これはスピーカーシステムの正面に対して斜めや横、後にどれだけ音が出ているかを示すものです。
同心円状のグラフのセンターにスピーカーシステムが設置されていると考えます。0°側がスピーカーの正面です。
スピーカーシステムの後面は180°側になります。
同心円の一番外側は0dBと表示してあり、円の中心に近づくとー5dB、-10dB、-15dBのように音量が下がっていくことをあらわします。
もし、全方向が同じ音量のスピーカーシステムが存在するならば、グラフ化すると図1のようにどの角度も全て0dBとなります。
エンクロージャーにマウントしていない裸のスピーカーユニットの特性をとると、
前側(0°)と後側(180°)が音量が大きく、横(90°、270°)は音量が小さく聴こえます。
これをダイポール特性といいます。
これをエンクロージャーにマウントし一般的なスピーカーとして特性をとると、後側から再生されるる音が減衰しますので図2のようになります。
赤線のグラフを見ていただくと、正面に対して30°斜めの位置では-4dBですので正面の63%の音量、
60°斜めの位置では32%の音量が再生されているという意味になります。
本来スピーカーシステムはリスナーに向けて設置するものですが、
スピーカーシステムを壁と平行に設置し聴いている方は63%の音量でしか聴こえていないのです。
さらに問題なのはこの特性は再生する周波数によって大きく変化するということです。
音は高音になる直進性が強くなり僅かにずれただけでも大幅に音量が低下します。10KHzを緑線で表しました。
正面に対して30°斜めの位置では-15dBですので正面の18%の音量でしか聴こえていません。
スピーカーシステムをリスナーに正確に向けて聴かないと、周波数帯域によって音量の大小が発生します。
『ハイレゾ対応』と書かれているような高域特性が優秀なスピーカーシステムであっても
リスナーの方向にきちんと向いて設置されていないのであれば
何十年も昔のフルレンジスピーカーを鳴らしているのと大差ないということになります。
出力100wのパワーアンプはどのようなときでも100wの出力が保証されているというわけではありません。
図1はどのようなときでも100wの出力が保証されているパワーアンプのグラフです。しかし、現実のパワーアンプは図2のようなグラフになります。
パワーアンプの詳しい仕様書をみると『保存温度:-40度~80度、使用温度:-20度~40度』というような項目が書かれていることがあります。
保存温度とは輸送時や保管時に守らなくてはいけない温度範囲です。
海外に輸出するような場合にコンテナの中ではこれぐらいの温度になることも珍しくないため表記されています。
この温度範囲を超えると使用されているパーツが破壊する恐れがあり、それは平温になっても元にはもどりません。
使用温度とは電源を入れて使用しているときの温度範囲で一般的な室内であれば十分クリアーできる温度範囲です。
稀に、真夏に自動車の室内で使用する場合や、特別寒いエリアで使用する場合は、まず室内を適温にしてから電源を投入する必要があります。
さらに、機種によっては使用温度の-20度~40度の範囲内でも100wの出力が保証されないようなモデルもあります。
図2では温度が25度~40度の範囲でグラフが斜めになっています。例えば、30度では92w、40度では80wしか出力できないと読み取れます。
これはパワーアンプの電源回路や出力回路に使用されている半導体自身が熱を発するためです。
外気の温度に自身の発熱も加わることを考慮してこういった数値になっています。
ホームオーディオ用のパワーアンプのカタログにはこういったグラフはあまり見かけませんが、業務用のパワーアンプで見ることがあります。
業務用のパワーアンプはホームオーディオ用パワーアンプとは比べ物にならないほどの厳密な温度管理を行っています。
真夏に屋外のイベントで使用されたり、放熱状態があまり良くない19インチの業務用のラックに固定された状態で使用されることもあります。
ステージ本番中に音響が止まることは許されませんので、別途冷却用のファンを取り付ける等の対策を行い、
きちんとした温度管理をした上で使用されています。
オーディオアンプを製作する場合、基本となるのは回路図(上図の左側)ですが、
回路図は回路を設計したり、動作を判りやすく把握するための図面ですので、実際に製作する場合はかえって判り難い場合もあります。
そのようなときは回路図を元に実態配線図(上図の右側)を書いてみることをおすすめします。
実態配線図とは現実の電子パーツや配線を図面化したものです。
たとえば、トランジスターにはエミッター、コレクター、ベースという3つの電極があります。
上図の回路図では上からコレクター、ベース、エミッターの順番になっていますが、
実際のパーツの電極はエミッター、コレクター、ベースの順番です。
勘違いして製作し電源を入れてしまうとトランシスターが破損してしまいます。
また、C1のフイルムコンデンサーとC3の電解コンデンサーは回路図では同じ大きさで表現されていますが、
実際には電解コンデンサーが大きいこともあれば、フイルムコンデンサーが大きいこともあります。
これらは製作時にミスや勘違いの原因となります。
実態配線図は製作時のミスをなくすために実際の電子パーツの2倍尺の大きさで書かれます。これには別の理由もあります。
アンプは基盤と呼ばれるベークライトやガラス繊維等でできたボードの上に電子部品をマウントし半田付けします。
メーカーが量産時する際には、配線が銅箔によって描かれたプリント基板という専用の基板を使用しますが、
試作時や趣味でアンプを製作する場合は、ユニバーサル基盤(万能基板)を使用します。
万能機版は規格によって0.1インチ(2.54mm)ピッチで無数の穴が開けられており、その穴の周りにランドと呼ばれる丸い銅箔がプリントされています。
電子パーツの多くは0.1インチ(2.54mm)の倍数になるよう電極の位置が設計されていますので無理なくユニバーサル基盤上にマウントすることができるのです。
これを2倍尺で描くと約5mmとなり5mm方眼のノートを使用して事態配線図を描くととても便利で多くのエンジニアが行っている方法です。
実態配線図2へ続きます。
実態配線図を書くにあたっての注意です。
● Top viewとBottom view
出来上がった基盤を上から見た図面がTop view(上面図)、
下から見た図面がBottom view(下面図)です。
真空管の時代にはあまり基盤が使用されませんでしたのでBottom viewで書かれていました。
現在でも真空管やリレーの仕様書の図はBottom viewで書かれています。
半導体の時代になると大半が基盤を使用するようになりました。
基盤を使用して製作するときはTop viewの方が見やすいため
現在ではTop viewで書かれることが多くなっています。
● パーツを配置する際は適切な間隔で
水色の丸がユニバーサル基盤に開けられた穴(ホール)です。
ユニバーサル基盤には径が1.5mm程の穴が開けられています。
この穴にパーツのリード線を差し込んで配置するのですが、
パーツとパーツの間隔は適切な距離でなければなりません。
パーツが接触することは避けなければなりませんし、
必要以上に間隔をとると回路全体の面積が大きくなりノイズが混入しやすくなります。
● 基盤をカットする場合は
基盤をカットする場合はホールを切り取り線とするようにカットします。
また、シャーシに取り付けるためのネジ穴もホールを広げるように穴開けします。
● パーツの向きにも注意
オーディオメーカーが試作等でユニバーサル基盤を使用する場合は、
その後量産されるのが前提です。
試作時であってもパーツの位置や方向を揃えたり、
同じ種類のパーツを隣り合うように配置する等の配慮を行っています。
このように配慮された基盤はパーツをマウントする際の間違いが少なく、
完成後の目視による確認がしやすくなります。
実態配線図3へ続きます。
実態配線図2の続きです。
● 発熱するパーツは向きにも注意
抵抗や半導体の中には発熱するパーツもあります。
このようなパーツは周囲に十分な空間を確保し、他の部品が高温にならないようにしなければなりません。
また、自身の経年変化等にも影響が出にくくなるような設置法歩をとらなくてはいけません。
発熱量が大きいパーツは放熱器をとりつけますが、僅かな発熱で放熱器をもたないパーツは設置方法を工夫しなければなりません。
パーツは通常基盤にピッタリとくっついた状態でマウントしますが、
発熱が大きいようであれば、あえて基盤に対して浮かせたり、垂直に立てて放熱が良い向きにマウントします。
● 赤色と黒色の書き分け
上図右側の実態配線図は青色、赤色、黒色で書かれています。
青色はホールを意味し、通常は方眼紙やノートのマス目で表現するものです。
重要な情報は赤色と黒色で書かれています。黒色は基盤の表側で、赤色は基盤の裏側です。
電子パーツは表側にマウントしますので黒色で書かれています。配線は裏側で行いますので赤色で描かれています。
ここで注意しなければいけないことは『同じ色同士が交差することはできない』という点です。
赤の電線と黒で書かれたパーツは裏と表の関係になりますので交差したり重なっていてもOKです。
通常、電線が導通しないで交差する場合は(跨る場合は)表側にジャンパー線というものマウントしますが、
赤色と黒色の関係をうまく利用するとジャンパー線を減らすことが可能です。
● 区画ごとに描く
多くのパーツを使用した複雑な基盤の実態配線図は区画ごとに描きます。
パワーアンプであれば初段、ドライバー段、終段、電源、保護回路等に分かれていますので
それぞれを1区画として書き上げ、それらを接続して仕上げるようにします。
増幅回路はよく似た回路が多いので、過去に書いた区画は、新たな実態配線図に利用することができます。
ブロックダイヤグラムはブロック図とも呼ばれ、回路図を動作単位の区画に分けて簡易的に示した図です。
1960年代にNASAが宇宙関連の事業に使用し、世界中に広がったといわれています。
動作単位で分けられた区画をブロックと呼び、左が入力側に、右が出力側で、信号の処理と同じ順番になるように書かれます。
たとえば、パワーアンプであれば、
左から、入力回路、初段、ドライバー段、終段、出力回路、電源回路、保護回路のようなブロックに分けられます。
分けられたブロックの中には回路名や機能が書かれており、回路図が複雑で判り難い場合でも、
ブロックダイヤグラムによって概要を確認することが可能です。
たとえば、プリアンプの入力にはバッファ回路を用いますが、入力切り替えスイッチの前にあるか、
後ろにあるかを確認する事ができます。
前にある場合は、各入力ごとにバッファ回路持ちますので、
入力の種類によって特性を変化させて最適化を図っている可能性があると読み取ることができます。
本来のブロックダイヤグラムはブロックの他には加算等の処理記号があるのみですが、
オーディオで使用される場合は、より判りやすくするために
スイッチやボリューム等のインターフェースや真空管といった主要な電子パーツをあえて書く事があります。
ブロックダイヤグラムによく似た図表にフローチャートというものがあります。
フローチャートは元はコンピューターのプログラミングに使用され、処理のプロセスを示すものでしたが、現在では他の業種でも使用されています。
フローチャートは上から下に書いていきますので、この点でもブロックダイヤグラムとは異なります。
ブロックダイヤグラムはデザインとして使用されることもあります。
ムジカの オーディオ・コントロール・センター Raicho7acc では多くの機能を判りやすく表示するために、
フロントパネルに実際のスイッチやボリュームと共にブロックダイヤグラムを描き、直感的に操作できるように工夫されています。